Cole Porter」カテゴリーアーカイブ

[You’d Be So Nice to Come Home To]You’d Be So Nice to Come Home To

コウル・ポーターが’43年のミュージカル映画『Something to Shout About』に書いた曲で、ジャネット・ブレア Janet Blair とドン・アミーチェ Don Ameche が歌った。ブレア(’21-2007)はペンスィルヴァニアの田舎の教会のコーラスで歌っていたが、ハル・ケンプ楽団のオーディションを受けて通り、専属歌手を二年間勤めた。それからLAの Cocoanut Grove で歌っているところをコロンビアのスカウトに見出され、その直後にケンプが自動車事故で亡くなってしまったこともあって映画界入りして、これが第一作となった。

[Begin the Beguine]Begin the Beguine

コウル・ポーターが’35年のミュージカル【Jubilee】のために書いたもので、そこではジューン・ナイト June Knight が歌った。[Night and Day]などとともに彼のラテンリズム曲の代表作の一つだが、なんと108小節もある。ポップソングのなかでは108小節というのは最長かもしれない。脚本のモス・ハート Moss Hart が聴いていて、もう終わったかと思ったらまだ半分くらいのところですごく驚いたという。

[I’ve Got You under My Skin]I’ve Got You Under My Skin

この曲は1936年のエリナ・パウエル Eleanor Powell 主演のミュージカル映画『Born to Dance』に入れられ、そこではヴァージニア・ブルース Virginia Bruce が歌った。その年この曲はアカデミー賞にノミネイトされたが、受賞は逸している。また’46年のコウル・ポーターの伝記映画『Night and Day』にも使われている。

[Love for Sale]Love for Sale

’30年末に開演したコール・ポーターのミュージカル【The New Yorkers】に入れられた曲で、放送禁止の処置を受けたこともあって有名な曲になった。しかしミュージカルの方は12月8日開演し翌年5月に閉幕して168回しか続かず、ブロードウェイ初登場のジミー・デュランティ Jimmy Durante (1893-1980)がやくざの子分役で受けたことを除けば、あまり成功しなかった。

[Ev’ry Time We Say Goodbye]Ev’ry Time We Say Goodbye

これはコウル・ポーターの作品で、ビリー・ロウズ Billy Rose の’44年のレヴュー【Seven Lively Arts】に挿入され、そこではナン・ウィン Nan Wynn が歌った。これは〝七つの活気のある芸術〞というそのままの意味で、音楽、演劇、オペラ、バレー、ラジオ、絵画、コンサートをさし、配役陣にはベアトリス・リリー Beatrice Lillie、バート・ラー Bert Lahr、ドロウレス・グレイ Dolores Gray らが入り、ベニー・グドマン Benny Goodman、テディ・ウィルソン Teddy Wilson らが伴奏メンバーに入っていて、 イゴール・ストラヴィンスキー Igor Stravinsky がバレー音楽を書き、 踊り手のなかには著名なアリスィア・マルコウヴァ Alicia Markova も入っていた。

[Anything Goes]Anything Goes

これはコウル・ポーターの作詞曲で、’34年の同名のミュージカル【Anything Goes】に入れられたので良く知られている。このショウは’20年代から’30年代にかけて有名なヒットミュージカルを次から次へと手がけていた、ガイ・ボルトン Guy Bolton とウドハウス P. G. Wodehouse のコンビの原作脚本で、難破船のうえで展開していく喜劇だった。

[All of You]All of You

この曲はコウル・ポーターが’55年のミュージカル【Silk Stockings 絹の靴下】に書いたもので、ブロードウェイミュージカルに曲を書くのはポーターにとってこれが最後となった。これはパリを舞台にしたソ連の外交官やスパイ相手のコメディで、面白おかしいソ連への風刺、皮肉、揶揄に満ちていたものだが、ソ連や東欧の社会主義が過去のものとなった今、多くの人にとって分厚い説明書でもつけなければ意味が理解できないものなのかもしれない。