Episode #013 僕はジャズについて少しばかり話したいんだ!

 アート・ブレイキーが市外の仕事で車を走らせているときだったが、ある村にさしかかると、葬式の行列のために進路が完全に渋滞して動けなくなってしまった。この葬儀が終わるまでは墓地の周辺を通り抜けることはできなかったので、彼は車を出て死者に対する追悼の辞に耳を傾けた。牧師が亡き者へのしようとくの言葉を長ながと述べ、それから列席の人たちになにか付け加えることがないかと問うた。暫しの沈黙があり、だれもなにも言わないので、アートはこう言った。

「亡くなられた方になにも言うことがないんだったら、僕はジャズについて少しばかり話したいんだ!」