
1836年頃
作詞/ジェイムズ・モントゴメリー James Montgomery
作曲/ヘンリー・T・スマート Henry T. Smart
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- 解説、英詞、日本語訳、New 楽譜(リードシート)
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- ストリーミング
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- 450円(税込495円)
これはアイルランド人のジェイムズ・モントゴメリーが1816年のクリスマス・イヴに新聞に発表した詩に、のちにヘンリー・T・スマートが作曲してできあがったキャロル(聖歌)である。モントゴメリーは1771年にスコットランドで生れている。両親が布教のために西インド諸島へ行ったために、彼は両親が属していたアイルランドのキリスト教モラヴィア派の村落にあずけられた。しかしまもなく両親は現地で亡くなってしまい、あちこちの家を渡り歩くように育てられたためか、彼は孤独でどこにも属さず教育を嫌って放浪し、わずかな収入も紙やペンにつぎこんで詩ばかり書く人間になった。やがてアイルランドの地方新聞に物語りを寄稿するようになるが、その新聞社の社主が過激な対イギリス論攷から逃亡のやむなきにいたり、彼がとってかわってその地位につくことになる。そして彼もイギリスの強圧的な宗教政策への対決姿勢をくずさず、二度ほど投獄された。しかし1816年12月24日の新聞 Sheffield Iris に彼が載せた詩[Nativity キリストの降誕]は宗派や民族、国家をこえた普遍性をもつもので、それまでの反英的なものとは一線を画していた。それは彼がそれまでの地方的、民族的で一面的な偏狭性から脱却しはじめた証だったとも解釈できる。その詩は多くの人の心を捉え、やがてメロディがつけられてこの曲となる。それでも「行間にはまだ社会的な意見もかいま見え、長い間捨て去られていたヴァースには諸悪を糺(ただ)さなければならない社会についての言及が見られる」とたとえばエイス・コリンズ Ace Collins は指摘している。コリンズの言うように、彼はまだアイルランド人としての民族性を捨てたわけではなく、ただ少し次元の高い抗議の姿勢をそこに表現していたにすぎない…
── 本文より