But Beautifulの解釈最新版です

村尾陸男からの最新版のお知らせです。

よく歌手が [But Beautiful] を歌う前に、マイクをとおして解説をし「恋とは楽しくまた悲しく、そして狂おしかったりするけれど、しかし美しい、というこの歌が私は大好きです」などと語るのを私はこの何十年と耳にしてきたし、今でもこの解釈は日本のジャズ歌手やジャズファンのあいだで少しも廃れていない。しかしこの歌は、恋は「funny or sad, quiet or mad, a good thing or bad, tearful or gay, a problem or play, a heartache either way 面白かったり悲しかったり、静かだったり狂ってたり、良いものだったり悪いものだったり、涙に満ちていたり陽気だったり、問題だったりお遊びだったり、どっちにしても心が痛むもので、それがいい、素晴らしいのだ」と言っている。
私はこのbeautifulの意味を、多くのアメリカ人、イギリス人などに機会があるごとに尋ねてきた。「美しい」という意味も根強く、はっきりとそう言う英米人もいなくはない。しかしそれに反対する人も少なくない。英米人のなかでこれほど意見が分かれるというのは、ただ事ではなく、われわれはただ困り果てるしかない。ここではこれら多くの人たちの意見をまとめて、総合的な解釈というものを可能なら出して見たいと思う。それで正解が得られるかどうかは、正直言って私はわからないが、とにかくやってみよう。
beautifulという単語に裏の意味とか隠れた意味はないようである。だからbeautifulは「美しい」の意味で問題ない。ただいま述べたように「面白かったり悲しかったり、静かだったり狂ってたり、良いものだったり悪いものだったり、涙に満ちていたり陽気だったり、問題だったりお遊びだったり、どっちにしても心が痛むものだ」と歌うから、恋の否定的な意味を排除していないところは、はっきりと見てとれる。むしろこの歌は恋の否定的な面を強調しているとも言える。
面白い/悲しい、静か/狂ってる、良いもの/悪いもの、涙をさそう/陽気、問題だったり/お遊びだったり、どっちにしても心が痛む、と否定的な面、負の面を隠さず呈示しているわけだ。美しいの反対のものは言ってないが、正負の両方を言ってきているから、「美しい/醜い」も当然あってもおかしくない。実際恋は悪い方へ展開すると、醜くなりどす黒くなり、悪くすると殺し合いに発展したりする。これは私が巧みに誘導して勝手な意見を読者に押しつけているのではなく、実際そんな事件の報道、物語は新聞、放送、映画どこにも昔から溢れている。どういうわけか、この歌は「醜いugly」という言葉は入れていない。しかし論理からいけば、恋が美しくもあれば醜くもなるというのは、普通のことで誰しも認めるところだろう。だから「面白い/悲しい、静か/狂ってる、良いもの/悪いもの、涙をさそう/陽気、問題/お遊び、どっちにしても心が痛む」と言ってきて、「でも恋は美しいんです」などと大見得を切るのは、強引なこじつけでしかなく、むしろここまで歌ってきた歌詞の意味を否定している、ひっくり返しているとさえ言えるだろう。ここのところが正確に把握できれば、「しかし美しい」訳は不適当だと理解できるだろう。
beautifulには「美しい」以外に、「申し分のない、りっぱな、すばらしい、すてきな、あざやかな」などの意味があり、間投詞的に「お見事、でかした」の意味にも使われる。なにか立派な仕事をしたときにbeautifulと言って褒めたりする。またとくに立派でなくとも、仕事をきちんとすればそう言って褒められる。「よくやった、よしよし」という感じだ。だが悪い意味はなにもない。この曲のbeautifulも、やや強い肯定の「素晴らしい」とか「いいな」ととればいいが、「しかし美しい」とあまり改まって言うと、歌詞全体の意味をだめにしてしまう。だが「美しい」という基本的な意味は厳然としてそこにあり、それは生きていて、そこになにか特別な裏の意味があるわけではない。ここで私の知人の一アメリカ人の意見を紹介しよう。

と続きますが、あとは本文を熟読してください。力の入った問題の一遍です。

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